256: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/19(金) 02:35:59.60 ID:FLcWsv7Mo
◇
――砂塵舞う、無人の居住区。
私達はあの時と同じ地に立つ、一体のアラガミと相対していた。
全身を金色の甲冑で覆った、六本足の肢体。
その内の、両腕にあたる2本は特に発達していて、盾のように硬質化している。
対照的に、長く伸びた尾の先端には、槍の如く巨大な針が形作られていた。
アラガミに向けた、神機の焦点がぶれる。
やはり、ホログラムと実物とでは、訳が違った。
その、獲物を前にした細かな挙動が実感を生み、否が応でも、廃屋での惨状を想起してしまう。
……だけど、死に対する恐怖は、それ以前から常に感じていたものだ。
アラガミが咆哮を上げ、まずは牽制とばかりに、尾針の薙ぎ払いを仕掛ける。
私があの時恐れたのは、アラガミの記憶を見せつけらてなお、何もしようがなかった自分自身だった。
振るえる力があるのなら、それを持てない人々のために行使しなくては、意味がない。
跳んで尾をかわし、銃形態の神機を構えた頃には、照準は正確に標的を捉えていた。
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