253: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/09(火) 00:27:06.17 ID:KGKozhNHo
「でも、それもみんなから逃げてるだけだって気づけたから、私はここにいる」
「だから……今度こそ、あなた達を信じたい」
「どう扱ってくれても構わないから……ついていかせてください……!」
深々と、頭を下げる。
我ながら、勝手な物言いだ。
簡単には許されないであろうことも、わかっている。
だけど、ここで折れるつもりはない。
彼らに何を言われようとも喰らいつく覚悟は、昨日の内に決めてきていた。
数秒の沈黙の後、一つの足音が、私の方に近づいてくる。
「……顔を上げてください」
音の主は、シエルだった。
顔を上げれば、彼女のポーカーフェイスが姿を現し――
――一瞬、視界が暗転する。
次に光が戻ってきた時、私の顔は右を向いていた。
後から広がってきた痛みと、耳に記憶された残響から、私は頬を張られた事に気づく。
「これが、私達の解答です」
向き直ると、シエルは既に、私の前にはいなかった。
「……先に行っていますね、隊長」
その言葉に、私は思わず彼女の方へと振り向く。
声の調子こそ平坦だったけど、すれ違いざまに見えた口元は、少し緩んでいた気がした。
呆然とシエルの去った跡を眺めていると、今度は頭部が何やら固い感触を帯びる。
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