245: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/02/02(火) 00:47:10.36 ID:3UBu+Mb9o
◇
私は、ただの学生だった。
成果を上げて、関知しているかもわからない父の機嫌を窺い続ける。
それは人間関係も同じことで、努力し、一定の結果を出してさえいれば、見咎められることはない。
飛び抜けて優秀だったわけでも、特別要領がよかったわけでもなかった。
ただ言われた事をこなして、頼まれ事に応えるだけ。
周囲からは都合のいい人物だと思われていたかもしれないけど、私は構わなかった。
だって、それが私にとっての、何の変哲もない日常だったから。
他の人間はいざ知らず、私は一方的に訴えかけるだけで、そこに相互関係なんて介在し得なかった。
神機使いになっても、同じだった。
仲間を手助けする事はあっても、彼らの輪に、私が入ることはない。
そう思っていた。
……だけど、違った。
それは単なる思い込みだった。
私は、他ならぬ自分自身の事で、エリナを泣かせてしまった。
少なくとも彼女の中には、私とのつながりがあったからだ。
それが理解できない、とはもう言えない。
エリナの表情に、偽りはないと感じたから。
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