203: ◆6QfWz14LJM[saga]
2016/01/12(火) 01:48:37.39 ID:sot8cAHCo
――"……父さんには僕の方から言っておく……どうせ聞き入れてはもらえないだろうが"
"ただ……母さんのことは、恨まないでやってくれ"
"……大丈夫だよ、お兄ちゃん……嫌いになんて、ならない"
"だってこの髪は、私がお母さんの娘だっていう証なんだもの"
――仲間を失いたくないから、分断戦を拒否したはずなのに、今度は私の方からその仲間を突き放している。
……ジュリウスもギルも、人を見る目がない。
私は優しくもなければ、仲間を信じられるだけの度量もない、自己中心的な臆病者だ。
呼吸を整え、私は再び歩を進める。
この任務を通しても、やはり私に隊長としてふさわしい資質があるようには思えなかった。
ナナに言わせれば、今の私は"らしくない"ということだけど、それがどういったものなのかも見出せない。
だけど、せめて彼らが無傷のまま、この仕事だけは完遂させたいという未練が、私の原動力になっていた。
――"誰が従うなと言った。誰が抗えと言った。お前があの女のことを知る必要はない"
"……例え、あれが死んだとしてもだ"
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