192: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/12/23(水) 01:18:47.68 ID:dBzV5CS0o
「……今のお前じゃ、背中は預けられない」
「自分で解決できる程度の問題なら、話すぐらいはできるんじゃないのか?」
「……シエルと、ナナも?」
「……」
「え、えーっと……」
先ほどとは打って変わって、3人とも私から目を背けている。
「……信用できないなら、それでもいいよ」
やっぱり私は、話せなかった。
一時の信用だけでなく、誰から見向きもされなくなる気がして。
何もできない自分を知られて、期待を裏切ってしまうのが怖い。
この恐れが、嘗て"ブラッド"から離れようとまでした私の本性なんだろうか。
知られた方が都合がいいのに、自分を理解できるのに、たったそれだけのことが乗り越えられない。
「……先に行ってるから」
己に纏わりついた虚飾をこれ以上取り払われたくなくて、私はまた仲間から逃げ出そうとする。
それはこうした方がいいというような理屈じゃなくて、最早反射的な行動に近いものだった。
「待て!」
既に見当をつけていたのか、ギルが走り去ろうとする私の肩を、その寸前で掴む。
彼の手を振り払おうと、私が振り向きかけた瞬間――
――眉間に熱を帯びると共に、視界が真っ白な光に包まれた。
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