173: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/10/28(水) 01:23:45.69 ID:3YDezVExo
ギルの言葉で、あの日の記憶が想起される。
私が手を伸ばさなかったばかりに、彼は手の届かない場所へ行ってしまった。
結果だけを見れば、仕方のない事だったのかもしれない。
どうしようもない事だったのかもしれない。
だけど――
"いくら恐怖に曝されようと、苦痛を与えられようと、それがお前だけの問題なら私は構わない"
"だが、それが他の人間に降りかかるのであれば話は別だ。自身に阻止できるだけの力があるなら、全力で解決に当たらなければならない"
――それを正当化していい理由には、ならない。
決して、繰り返していいことではない。
また、手が震えだす。
「……分断は、しないよ」
「何……?」
私自身に何もなくても、神機使いとしての力はあるはずだ。
あの時だって、防げたはずなんだ。
「1体は手負い、しかも視力を失った今なら、複雑な連携行動には対応出来ないはず」
「出方がある程度わかっているなら、わざわざ戦力を分散させることもないと思う」
「ですが、それも確証が持てません……それに、先ほどのペースから考えると、2人ずつでも十分――」
「……大丈夫だよ。私だって、何の考えもなしにこんな事言ってるわけじゃないから」
「……考え、ですか」
「それで、その作戦って?」
「追いついてから話すよ……今はちょっと、言えないかな」
私の手が届く限り、仲間を危険に晒させはしない。
……もう手放すつもりも、ない。
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