174: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/10/28(水) 01:28:50.30 ID:3YDezVExo
「……そろそろだな」
ギルに応じ、"ブラッド"は付近の建造物の、その壁沿いに寄り集まった。
この先に、討伐目標がいる。
「いたいた、ぴったりくっついちゃってぇ……」
物陰から顔を出し、ナナが肉眼でアラガミの姿を捉える。
彼女に続いて覗き込むと、2体の虎型が互いに寄り添い、追っ手を待ち構えるかのように、周囲を警戒していた。
「さて……その考えってのを聞かせてもらおうか」
仲間の側へ振り向いた私の元に、三つの視線が注がれた。
疑いのない眼。
期待を宿す瞳。
力量を推し量ろうとする目。
だけど、平静を保つ私の表情の裏にあるのは、会心の策なんかじゃない。
「……そうだね、まずは3人とも――」
体勢を整える。
不穏さを感じ取ったのか、ギルが僅かに眉を上げるのが見えた。
「――ここで待機していて」
言い終わるか言い終わらないかの内に、私はその場から飛び出した。
制止する声も、混乱や戸惑いの声も、今は耳に入れず、全速力でアラガミの元へと向かっていく。
警戒を続けていた無傷の虎型は私の姿を即座に認め、戦場に咆哮を轟かせた。
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