171: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/10/22(木) 02:22:40.46 ID:IxHqraCLo
この調子だ。
このままいけば、誰も傷つくことなく、任務を終える事ができる。
そんな私の慢心を即座に打ち砕くかのように、オペレーターからの報せが届く。
『もう1体のヴァジュラが進行方向を変え、こちらの方角に接近してきました!現在の地点からの移動を推奨します!』
予想していなかったわけじゃないけど、想定よりも接近速度が早い。
警告通り、この場から1体目を引き離さなければ。
「ナナ!"血の力"で――」
「避けろっ!!」
「えっ――」
ギルの叫びに反応し、身構えようとした時には、もう遅かった。
足元に小さな痺れが走ったかと思えば、体の中心から頭頂部まで、一気に衝撃が駆け昇る。
「――っ!!」
身体の一部を損壊させるほどの負傷があろうと、その活動が停止するまで、アラガミの闘志、あるいは本能が衰えることはない。
虎型は絶えず隙を窺い、焦った私を先ほどと同様の電磁場に巻き込むことに成功した。
小賢しい未熟者に一矢報いたアラガミは、身体を刺す周囲の攻撃には目もくれず、
自らの近辺に発せられた偏食場パルスを頼りに、一目散に駆け出して行く。
「隊長!」
「大丈夫……ごめん、油断しちゃった」
「説教は後だ、追うぞ!」
全身を焼くような痛みと、多少の痺れはあれど、戦闘面に支障はない。
シエルとナナが回避に成功していた事にはひとまず安堵しつつ、離脱したアラガミの追撃に向かう。
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