131: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/09/18(金) 00:22:00.44 ID:Wv5mRpTq0
「あ、あぁ、副隊長も来てたのか」
「……お、お疲れ様です」
隠す気がないのかと言いたくなる動揺ぶりに、むしろ私の方が追及を言い淀んでしまう。
「……お前ら、本当に何かあったみたいだな」
「い、いや何でもねぇよ!ただ今の話は副隊長には聞かせられないってだけで……あっ」
「ロミオ……!」
こちらから手を下すまでもなく、共犯者達はあっさりと自供した。
そういう事なら、甘んじて私への不満や批判を聞き入れて――
「違います!決して君をそんな風に見ていたわけでは……!」
――今までにない勢いでシエルに食って掛かられ、少し怯む。
「そうだよ!少なくとも悪い話はこれっぽっちもしてないから!……まぁ、まだ何の事かは言えないんだけど」
「とりあえず今言える事だけ言っとくとだ……副隊長、次の昼食会、楽しみに待っといてくれよな!」
そう言うなり、ロミオはシエルを連れて逃げて行ってしまった。
とりあえず悪い話ではないみたいだけど、結局何の話だったのかはわからず仕舞いだった。
「……なるほどな」
その一方で、隣のギルは納得したような表情をしていたけど、私には何も教えてくれない。
でも少しだけ、私は別の意味で安心していた。
……まだ、切り捨てられるには早いと思ったから。
少し長い間見ていた夢を終わらせる、そんな覚悟はとうにしていたはずなのに。
こんな事で一喜一憂してしまう程、私は"ブラッド"に未練を持ってしまっているらしい。
自分でも意識しないままに、"ブラッド"制服の袖を強く握りしめた。
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