123: ◆6QfWz14LJM[saga]
2015/09/08(火) 22:35:44.04 ID:FK+Mc0HM0
◇
「――あれ、ヘアゴム切れちゃった?」
極東、湾岸地区。
"アナグラ"に帰還し、極東支部での活動を再開した私は、エリナと共に、任務後の作戦地点で佇んでいた。
どうやらアラガミの攻撃を受けた拍子に、後ろ髪をまとめ上げていたヘアゴムが吹っ飛んだらしい。
「しょうがないなぁ……ほら、私の貸してあげる」
エリナが少し得意げに、腰元のポーチから取り出したヘアゴムを差し出してくる。
帰投してから予備のを括り直せばいい話だし、ここでわざわざ世話を焼いてくれなくても――
「うっ……いいの!人の好意は素直に受け取んなさいよね!」
――半ばむきになったエリナから強引にヘアゴムを押し付けられ、私は仕方なくその場で後ろ髪を括り直す。
支度を終え、エリナの方に向き直ると、彼女は何時かのような、しおらしい様子になっていた。
そういう態度を取るということは、また何か相談事だろうか。
「……最近、よく行くよね?あなたと、色んな任務にさ……」
「今更言うのもなんだけど、あなたは"ブラッド"とかただの神機使いとか、そういうの気にしないんだね」
エリナとの任務によく行くのは、彼女に折り入って頼まれたから、というのもあるけど。
言われてみれば確かに、コウタさんにハルさん、エミールといった、極東支部の神機使い達と任務に行く事もまた、少なくはない。
でも、その事に関して特に抵抗は感じないし、むしろこちらが教えを請う立場にあるのでは。
といったニュアンスの言葉で応えると、
「……そうそう、私の指導役を安請け合いしちゃう割には、そういう性格なんだよね」
若干の呆れ顔が帰ってきた。少し納得いかない。
534Res/441.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20