264: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2015/09/07(月) 00:42:21.22 ID:bBfa6yub0
男がそんなことを呟くのを耳の端に聴きながら、フランドールはただひたすら痛みに耐える。
名も知らぬ男から向けられる、一方的な『敵意』と『暴力』。
それは彼女が今まで生きてきた中で初めて自身に向けられたものであり、故に彼女を心の底から恐れさせた。
親に叱られた時とも、姉を怒らせた時とも違うその『恐怖』は、幼子の精神を劇毒のように蝕んでいく。
親であれば、きちんと反省すれば許してくれた。姉であれば、素直に謝罪すれば怒りを収めてくれた。
しかしこの男には、反省も謝罪も全く意味を成さないだろう。
それをした所で、この暴力は収まらないことを彼女は直感的に理解していた。
暴力を一方的に受け続けるしかないという『絶望』。
そして、この状況を生み出してしまったことに対する『後悔』。
彼女の心の内にあるのは、この二つの感情のみ。
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