242: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2015/08/24(月) 00:23:32.78 ID:KRW/N0gR0
そのことについては、フランドール自身も理解していた。
夜の街がどれほど危険なのかは、学校の先生から再三聞かされている。
そして犯罪に巻き込まれた生徒達が、一体どのような末路を迎えたのかについても。
子供達の事を考え、詳しく内容が語られることはなかったが、『それ』がどれほど恐ろしいことなのかは知っていた。
そして今、自分は犠牲になった生徒達と同じ『一人で夜の街にいる』という状況下にある。
自身を守る『盾(大人たち)』はこの場に無い。言うなれば、今の自分は暗い森に迷い込んだ脆弱な兎である。
『腹を空かせた狼(犯罪者)』に狙われたら最後、抵抗も出来ずに餌食となるしかないだろう。
その事実に気づいたフランドールは、急に強烈な不安に駆られた。
先ほどまでは全く気にしていなかったというのに、自覚した途端に恐怖が首を擡げてきたのだ。
まるで、不意に獰猛な肉食獣と相対した時のような。突然の出来事に一瞬呆けるが、
状況を理解した時に改めて襲い来る『あの恐怖』と似ていた。
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