243: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2015/08/24(月) 00:24:02.91 ID:KRW/N0gR0
フラン「早く、帰らないと――――」
誰かに聴かせると言うこともなく、ぽつりと言葉を漏らす。
その言葉が出た理由は、自身の中の不安を少しでも吐き出すため。
居るはずのない『誰か』と会話することで、平静を保とうとする無意識の行動である。
しかし、それは所詮付け焼き刃に過ぎない。心の中の不安は吐き出した以上に大きく膨れあがっていった。
やがてフランドールは、ゆっくりと自宅へ足を向け始める。
最早彼女の中には、姉に対する後ろめたさは微塵も残っていない。
『その程度のこと』など、自身に迫る危険に比べれば実に些細な問題である。
その代わりとにかくここから離れ、安全な場所へ行きたいという思いが強く支配していた。
彼女の足は迷いを見せることなく、帰路の道を進んでいく。だが――――
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