221: ◆A0cfz0tVgA[sage saga]
2015/08/10(月) 00:12:15.12 ID:Ns/1g1At0
彼女の用心深さをただの杞憂だとする人がいるかもしれない。それは一理ある。
科学が全てを占めるこの街に於いて、『魔術』などただの空想上の産物に過ぎない。
現に、レミリア達が街に住み始めてから一度も『魔術』という言葉を耳にしたことは無かった。
おそらく、この街に『レミリアが魔術師であること』を見抜ける人間はいない。
彼らにとって、魔術は『存在しないもの』なのだ。魔術が存在しないのならば、当然魔術師も存在しない。
『存在しない存在』を見抜くことなどできはしないのだから。
だがそれは所詮『おそらく』であり、絶対確実とは言えないものだ。
もしかしたらこの街の何処かに、自分達と同じように潜入している魔術師が居るかもしれない。
そして、その人物とばったり出くわしてしまったら。そうでなくとも、自分達のことを知られてしまったら。
その時点で今までの平穏は脆く崩れ去り、最悪破滅を迎える可能性すらある。
故に、例えそれがほんの僅かな可能性であったとしても、ゼロでは無い以上用心するに越したことは無い。
レミリア(でも、万が一の時に何も出来なかったら本末転倒だし、今回ばかりはしょうがないかしらね)
しかし『警備員』の手を借りなかったがために、フランドールの身に何かがあってしまっては意味が無い。
本当に必要な時に限っては、多少のリスクには眼を瞑る必要があるだろう。
そう判断したレミリアは、『警備員』に連絡を取るべく受話器を手に取ろうとした。ところが――――
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