234: ◆c4YEJo22yk[sage saga]
2016/04/13(水) 12:44:03.18 ID:isdK5suj0
「――停電か?」
俺はそう呟きつつ、辺りを見回す。
どうやら、事務所の外の建物や街灯などの明かりも消えてしまっているようだ。
「プロデューサーさぁん……」
「うおあっ!! びっくりした!」
背後からシャツの裾を掴まれて、俺は思わず声を上げ、身を竦ませた。
「可憐か……?」
「は、はいっ……ううっ、怖いです……。離れないでください……」
「大丈夫だよ、ここにいるから」
可憐に声をかけながら、俺は自分のスーツのポケットに手を突っ込む。
手さぐりでスマホを見つけてタッチすると、ぼんやりとした明かりが灯った。
ほんの弱い光だが、無いよりはマシだ。
「それにしても、どうやってこの闇の中で俺の居場所が分かったんだ?」
ふと疑問に思って聞いてみた。
暗さに目が慣れるのが早いのだろうか。
「えっ? プロデューサーさんの匂いを辿っただけですけど……?」
「そ、そうか……すごいな」
すごいを通り越してちょっとした恐怖を感じるんだが……。
いや、今はそんなことを考えている場合じゃないな。
スマホの光だけでは心もとないので、他に明かりになるものを探さなければならない。
「うーん、懐中電灯かろうそくでもあればいいんだけどな」
「あっ……それならちょうどいいものを持ってますよ?」
可憐はそう言って自分のバッグから、ごそごそと何かを取り出した。
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