233: ◆c4YEJo22yk[sage saga]
2016/04/13(水) 12:43:16.39 ID:isdK5suj0
【月の光とアロマキャンドル】
「どの写真も可憐の魅力がよく出てるな。上々の仕上がりだよ」
「そ、そうでしょうか……えへへ……」
俺が褒めると、可憐は照れて頬を赤らめる。
テーブルの上には一冊の雑誌が開かれていて、俺たちはそれを二人で覗き込んでいた。
紙面には、可憐のグラビアが数ページにわたって掲載されている。
「女子高生に人気の雑誌なんだよな? 可憐も普段から読んだりするのか?」
「は、はいっ……。特に、占いのコーナーは人気なんですよ?」
「占い?」
「ふふっ、よく当たるって評判なんです。今月の運勢はどうかなあ……」
そう言うと可憐は、うきうきしながら占いのページを開いてみせた。
「あっ、私の星座はすごく恋愛運がいいみたいですっ……!」
「そうか、それはよかったな」
俺もそのページに目をやる。
そこには、『好きな人と二人きりになるチャンスあり! 積極的になると良し!』とあった。
可憐はその文面を真剣な表情で見つめている。
雑誌の占いで一喜一憂するほどの、一途な恋をしているのかもしれない。
その十六歳の女の子らしい姿に、俺は微笑ましさを感じた。
「さて、そろそろ帰る時間だな。駅まで送っていくよ」
時刻は午後九時。
高校生の可憐にとってはもう遅い時間だ。
「あっ、いえ……一人でも平気ですよ?」
「いやいや、危ないから一緒に――」
そう言いかけたとき突然、部屋の明かりが消えた。
辺り一面が闇に覆われて何も見えない。
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