98: ◆yyODYISLaQDh[sage]
2015/05/11(月) 11:35:28.98 ID:AekEfTjZO
淹れたてではないにしても、火傷の心配はある。
ジュウが光の手を取って確認すると、指先が少し赤くなっていた。
「来い」
「えっ……」
光の手を引いて誘導すると、ジュウはシンクの蛇口をひねった。
水が十分冷たいのを確認して、そのまま光の指を流水にさらす。
暫くそうしてから光の指先を確認すると、さっきよりは赤みが引いたように見えた。
ジュウはいつだったか、ズブ濡れの雨の頭を拭いてやったことを思い出した。
「も、もういいからっ……」
「ん? ああ」
ジュウから逃げるように手を振り払う光。
光は顔を俯けて、悔しそうな表情でジュウに掴まれていた手を握りしめている。
咄嗟の判断とはいえ、勝手に手をとったのは軽率だったか。
その体勢のまま黙り込んでしまった光を見て、ジュウは怒鳴り声が飛んでくるまで、片付けをすることにした。
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