96: ◆yyODYISLaQDh[sage]
2015/05/11(月) 11:34:05.93 ID:AekEfTjZO
「なんで俺なんだ。伊吹にでも頼めばいいだろう」
「それは……」
そう言って、再び俯いてしまう光。
先日の騒動のとき、光は最後に伊吹と和解したようだったが、やはり一度できた溝はそう簡単に埋まらないのかもしれない。
しかし、自分を頼るのは良くないだろう、とジュウは眉間に皺を寄せる。
光はジュウとの噂をばら撒かれ、酷い目に遭っているのだ。
それは全くの事実無根であり、写真なども合成の嘘っぱちだった。
しかし、本当にデートをしてしまえば話は別だ。
恋人同士であることが光の嘘だったとしても、そういうことが事実として一度でもあったのなら、光の立場は再び悪くなってしまうかもしれない。
幸福クラブのような連中がいないとも限らないし、実際その思考に毒された者にジュウは殺されかけたのだ。
それに、光は姉と同様、容姿端麗文武両道。
妬みや嫉みで、光を陥れようとする奴はゼロではないだろう。
総合的に考えて、良い判断ではない。
ジュウは湯呑みを煽ると、自分の答えを切り出した。
「断る。どう考えても、お互いのメリットよりもデメリットの方が大きい。諦めて、相手が飽きるまで我慢しろ」
助けられるなら助けてやりたい、という気持ちはある。
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