柔沢ジュウ「雨か」 堕花雨「お呼びですか?」
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405: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/28(金) 15:39:39.91 ID:yEOjnOa9O

「なんだあ? 先にお前が相手を」

井原の言葉は最後まで聞こえなかった。
いや、言うことができなかったのだ。
雪姫に向かって伸ばされた井原の掌が、人差し指の付け根から手首にかけて一直線に赤い線が引かれる。
容赦のない一振り。
その躊躇いの無さに、ジュウは戦慄する。

「な……ッんだぁテメエぇえ!!」

対して井原は右腕を振りかぶった。
それは勇敢か愚行か、或いは本能か。
雪姫は流れるように黒腕を避け、すれ違う瞬間に金属音が鳴り響く。
比べるまでもなくはるかに強固であろうその黒光りする金属を、カッターナイフが易々と切り裂いた。
外装の亀裂から蒸気が噴出し、井原が苦鳴を上げる。
その場に膝を着き、

「このクソアマァ……!」

「そろそろ、クスリ切れか?」

雪姫の言葉に顔色を変える井原。
よく見れば全身から脂汗を流しており、呼吸も更に荒くなっている。
あれほどの巨腕を簡単に振り回せるはずがない。
クスリ、つまりはドーピングによって筋力を増強し、痛みを誤魔化していたというわけか。
刃こぼれ一つないカッターナイフが真っ直ぐに向けられる。
雪姫は顔色一つ変えずに敵に立ち向かう。

「屠殺か豚箱か、選ばせてやる」




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