柔沢ジュウ「雨か」 堕花雨「お呼びですか?」
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403: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/28(金) 15:38:45.18 ID:yEOjnOa9O
――はずだった。
上から振り下ろされるはずの黒腕が突如として進路を変え、ジュウの身体を吹き飛ばす。
辛うじて視界の隅で捉えたのは、手首のあたりからジェットエンジンのように噴出する炎。
咄嗟に後ろに転がったものの、巨大な鉄球をぶつけられたかのような衝撃。
今の一撃だけで意識を失いかけた。
肋骨の数本は折れているかもしれない。
そのままジュウの身体は壁に叩きつけられ、前後の衝撃から内臓がひっくり返ったような感覚に陥る。
吐瀉物が湧きそうになるが、それは寸でのところで堪えた。

「ギィヒャハヒハハハハハア!!!!」

井原はジュウの様子を見て狂ったように笑っていた。
口の端から泡を吹き、黒腕を何度も地面に叩きつけて狂喜する。

「ギャハハハハハハハ!! どうだ柔沢! テメエを! テメエをぶっ殺すために手に入れたこの力!! 痛ぇか!? 苦しいか! 安心しろよ、今すぐ殺してやるからよぉ!!」

井原の言葉に、ジュウは絶句する。
自分を殺すためだけに、井原は自らの肉体を引き換えにしたというのか。
いや、それだけ井原の受けた精神的な傷が大きかったのか。

「テメエを殺したら、あん時の女も俺が可愛がってやるよ」

口の端から泡と涎を垂れ流しながら、下卑た笑みをジュウに向ける。
あの時の女、というのはおそらく雨のことだろう。
ジュウは一瞬で頭に血が上るが、先ほどの衝撃で平衡感覚が定まらず、思わず片膝を着く。
井原が嘲笑し、一歩、こちらに踏み出した。

「おい、ブサイク」

「……あぁ?」



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