401: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/28(金) 15:37:35.41 ID:yEOjnOa9O
井原はジュウの通う高校で、かつては不良グループをまとめていた男だ。
入学当時から何度も殴り合った仲でお互いによく知った相手。
ただし以前とは違い、右腕の肘から先が巨大化し、機械のように黒光りする腕が生えていた。
あまりの異形にジュウは驚愕する。
明らかに普通の肉体では考えられない腕。
生身の部分も巨大な腕を支えるためか筋肉が肥大化し、まるでSF映画でナノマシンに浸食された生物のように、肩のあたりまでチューブや外装がそこに食い込んでいる。
右の黒腕はその左腕と比べると三倍以上の太さになっており、長さも少しかがめば地面に着くほどだ。
当然、人間の肉体がそのような作りになっているわけがないが、じっくりと観察している時間は無かった。
無言で動き出した井原はその間に距離を詰め、拳を振りかぶる。
咄嗟に行動に移れなかったジュウは、一拍遅れて雪姫の腕を取った。
間一髪、井原の拳は飛びずさったジュウの足元を殴りつけた。
「なっ……!?」
その拳はアスファルトの道路を抉り、周囲に地割れを巻き起こした。
もしもあとコンマ一秒でも回避が遅れていれば、ただでは済まなかっただろう。
足場を確保するために再び後退る。
井原はゆらりと立ち上がり、黒腕の側面から排気ガスのように煙を吹いた。
「戦闘用の義腕だ」
後ろから聞こえた低い声に振り向くと、雪姫がカッターナイフを弄んでいた。
刃物を手にしたおかげでスイッチが入ったようだ。
「戦闘用?」
「前を見ろ。次が来る」
疑問に答えず、雪姫がジュウに掴まれたままの腕を軽く引く。
ジュウはそれに従うように跳び、再び井原の拳が地面に突き刺さる。
507Res/213.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20