400: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/28(金) 15:37:07.62 ID:yEOjnOa9O
「あ、次はここに入ってみよっか?」
「断る」
雪姫の進行方向にそびえるのは白い壁にピンクの看板。
ご休憩いくら、おとまりいくらという料金表示の掲げられた、所謂ラブホテルだった。
「冗談冗談。そんなに怒んないでよ」
「勘弁してくれ」
ジュウはため息交じりに絡みつく雪姫の腕を軽く解いてから雪姫に向き直る。
雪姫はつまらなそうに唇を尖らせ、両手をポケットに手を突っ込みながらそっぽを向く。
「そろそろいい時間だし、帰るぞ」
「んー、まあ私は良いけど――」
瞬間、ジュウは自分の頬をカッターナイフが掠めるのを辛うじて避けた。
半身を開くように捻って、後退る。
そして同時に見た。
雪姫の右手から突き出されたカッターナイフが、ジュウの背後から凄まじい勢いをもった黒い物体を弾き返すのを。
「――アイツは、お前に用があるみたいだが?」
そのまま後ろに転がり、とにかく距離をとるジュウ。
雪姫は身軽に飛びずさり、ジュウの横に着地した。
そしてジュウが顔を上げると、そこに立っていたのはよく見知った顔だった。
「井原……?」
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