397: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2017/04/28(金) 15:35:29.61 ID:yEOjnOa9O
雪姫の両手がジュウの身体を這い、最初にクリーンヒットした脇腹と、最後の一撃を撃ち込まれた鳩尾のあたりでピタリと止まる。
服の上から的確に一番違和感の残っている箇所を抑えられ、思わず身体が強張った。
決して雨の名前に動揺したわけではない、とジュウは自分に言い聞かせる。
「……何でお前が知ってる?」
「女子の情報網を舐めちゃあかんぜよ、ワトソン君」
ふざける雪姫に苛立ちが募るが、考えてみれば当然のことだ。
友人同士の三人のことだ、毎日連絡を取り合っていても不思議ではない。
雪姫が言うには雨はこのことを知らないらしいが、円がわざわざ教えたということか。
それとも、雪姫もそういう目的でジュウを訪ねてきたのか。
「だから、デートしよ?」
だから、というのはつまり、雨には黙っておいてやるから、ということだろう。
別段、雨がこのことを知って困ることはない。
どちらかといえばジュウの騎士を気取っている雨が円に報復しかねないぐらいだ。
ただ、ジュウはこのことを雨に知られたくなかった。
理由はわからない。
ただ知られたくない、というだけで、ジュウが雪姫の脅しに屈するには十分だった。
〜〜
「ふんふふ〜ん♪」
数歩先を歩く上機嫌な雪姫とは対称に、ジュウは全身から負のオーラを漂わせていた。
学校を出てから電車で乗り継ぎ、辿り着いた繁華街のあちこちの店を眺めては出て、眺めては出てを繰り返している。
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