339: ◆yyODYISLaQDh[sage]
2017/02/23(木) 20:54:59.28 ID:V014Qou/O
悲鳴を上げそうになるのをどうにか堪えた、と言うのが本当のところだ。
なぜなら、そこに堕花雨がいたからである。
「お邪魔しております」
深々と丁寧に頭を下げる雨だが、ジュウにとってはそれどころではない。
「お、お前いつから……!?」
「ジュウ様が食器を洗い始めたあたりからです。テーブルの上が汚れていましたので、片づけておきました」
見れば、確かに先程ジュウが吹き飛ばしたプリンの残骸が無くなっている。
しかし、ジュウが問題にしているのはそこではない。
「いつの間に入って来たんだってことだ! まさか――」
「いえ、以前禁止されましたので窓からではありません。普通に玄関から入ってきました」
「玄関?」
「はい。と言うよりも、入れて頂いた、と言う方が正しいかもしれません」
そこまで聞いて、ジュウはようやく思い至った。
「あのババア……!」
雨を招き入れた張本人、それは紅香だ。
おそらく、玄関を出た際に雨と遭遇。顔も知らなかった以前と違い、先日の事故などでジュウは雨に借りがあるし、それを知っている紅香はそのまま通したのだろう。
悪戯のつもりか、それともただ面倒だったのかは知らないが、紅香から一声あってもよさそうなものだ。
声もかけずに背後で待機している雨にも問題があるが、こちらは心臓が飛び出る思いだ。
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