337: ◆yyODYISLaQDh[sage]
2017/02/23(木) 20:53:40.16 ID:V014Qou/O
ジュウが物心ついたころから、こういう母親なのだ、この女は。
物凄く優しい母親のようなことをしたかと思えば、次の瞬間には急に無関心になったり、唐突に暴力的になったりもする。
好きか嫌いかと聞かれれば、苦手と言うのが一番しっくりくる。
そもそも滅多にこの家には帰ってこないし、どこか他所で男と暮らしているらしい。
子どもの頃はこんな紅香にも母親らしさを期待していたジュウだったが、現在ではただの目の上のタンコブだ。
ジュウは紅香を睨み付けてみるが全く効果は無く、鼻で笑われる始末だった。
この程度で済むのだから、今日はまだ機嫌が良い方だ。
虫の居所が悪ければ、皿に手を付けようとしない時点で何をされていたか、長年この女と過ごしてきたジュウとって想像に難くない。
観念してフォークを手に取り、ナポリタンを巻き付ける。
トマトソースの程好い酸味と塩味が舌の上で解けていく。
美味い。
悔しいが、ナポリタンも、スープも、サラダも、全てが美味かった。
無言で食べ進めると、あっという間に食べ終わってしまった。
デザートのプリンに手を伸ばす。
白磁の耐熱容器に収められたプリンをスプーンで掬って口へ運ぶ。
これも美味い。
同年代の男子に比べて自炊はする方だが、流石にこんな菓子までは作ったことはない。
自分で作るものや、ましてやコンビニのものなどとは比べ物にならないであろう味だ。
腕力でも勝てない、知力でも勝てない、更に料理の腕でも全く敵わない。
そういった事実をできるだけ意識から外しつつ、最後の一口を口へ運ぶ。
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