柔沢ジュウ「雨か」 堕花雨「お呼びですか?」
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336: ◆yyODYISLaQDh[sage]
2017/02/23(木) 20:52:57.23 ID:V014Qou/O
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光による原因不明の鉄拳制裁を受けた翌日。
昨日は光に連れまわされ雪姫に絡まれ、散々な一日だった。
光はまだ可愛いものだが、雪姫は何を考えているのかよくわからないし、雨は過保護だし、あいつらと一緒にいると、酷く疲れる。
今日は祝日で、学校も休みである。
ジュウはそんな休みの一日を昨日の分まで、一人で悠々自適に過ごすつもりでいた。
つもり、と言うのは、現実にはそうなっていないということである。

「どうした。食べないのか」

どんな聖人君子だろうと、誰もが人生の中で最も苦手とする人間と出会うだろう。
柔沢ジュウにとっては、目の前にいるこの人物こそがそれだった。
ウェーブのかかった長い茶髪と、ワインレッドのスーツ。
二十代と言われても納得できてしまう美貌とスタイル。
テーブルに肘をつきながら、ジュウを横目に紫煙をくゆらせているこの女の名前は、柔沢紅香。

「母の手料理を無駄にするつもりか?」

柔沢ジュウの、実の母親である。
目の前にはナポリタン、付け合わせのサラダとスープ、そしてどうやら手作りのプリンが用意されている。
無論、普段学校の弁当におにぎりを適当に握っていくだけのジュウがこんなに手の込んだ昼食を用意するはずもなく、これらは紅香が作ったものだった。
皿から立ち上る香りが鼻腔をくすぐり、胃袋は目の前の料理を受け入れる準備を整えている。
しかし、それらを前にして、ジュウは手を付けるのを躊躇していた。
別に、毒が入っているかもしれないとか、皿に蠅が集っているとかいうわけではない。
料理自体は盛り付けまで美しく、一般的な家庭と比較しても、豪華な昼食と言えるだろう。
ただ、自由な休日の出鼻を挫かれたような、そんな気分に勝手になっているだけである。
紅香はなかなか料理に手を付けないジュウに対する興味がさっそく失せたのか、テレビを眺めながら新しい煙草に火を点けている。



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