305: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2016/10/14(金) 22:24:29.82 ID:J8WJ1/+kO
――少女の言葉で、真九郎の思考は中断される。
「……そうですね、あまり離れすぎると、何かあったときに困りますから」
庭園に来てから、既に5分以上経過している。
プロの殺し屋なら、上のパーティー会場にいた人間を皆殺しにするのに、3分とかからない。
少なくとも、自分ならば――――
真九郎は無意識に、自身の左肘に爪を喰い込ませていた。
喉の奥の塊を、息とともに細く短く吐き出す。
それから、訝し気にする少女に一礼して背を向ける。
庭園から屋内に入る際に一度振り返ると、少女は死角に消えて、既に見えなくなっていた。
もしかしたら、どこかで会ったことがあっただろうか、と顔の見えない少女に記憶を巡らせて。
「まあ、いいか」
と、小さく呟いた。
〜〜〜〜〜
507Res/213.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20