303: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2016/10/14(金) 22:23:26.08 ID:J8WJ1/+kO
裏十三家の一つである《円堂》。
彼らは裏十三家の中で唯一、表の勢力と融和した一族であり、警察機構などともコネクションがある。
この国を守るためならばテロリストによる虐殺すら見逃すほどであるその性質は『完全保守』。
一年前の事件から、真九郎は当時、《星?》と《斬島》の当主であった絶奈と切彦の監視役――とは名ばかりで現在は保護者となり果てている――を買って出た。
そのとき、師である柔沢紅香を通して《円堂》は真九郎に条件を提示してきた。
それがこの定期報告である。
一ヶ月ごとに円堂の遣いの者か、もしくは指定された方法で、切彦と絶奈の状態を報告することが、切彦と絶奈を真九郎が預かるための条件だった。
《円堂》は最初、紅香に対して絶奈と切彦の抹殺を依頼していたらしい。
曰く、二人は勢力の均衡を崩壊させる火種であり、不安の芽は早々に積むべきである、と。
『お前が決めろ』
とは、紅香の言葉だ。
あのとき、瀕死の絶奈と切彦を前にして真九郎は紅香に判断を仰いだ。
このまま見捨てるのか、それとも匿うのか。
しかし、紅香は真九郎に決断を丸投げした。
そして真九郎の決断に対して、紅香は協力を約束してくれた。
もちろん、二人の抹殺を依頼してきた《円堂》の説得も、紅香のおかげで滞りなく済んだのだ。
まったく、紅香には頭が上がらない。
そして真九郎は同時に《円堂》に対する不信感も増していた。
紅香への依頼の件とは別に、真九郎は過去に何度か《円堂》に裏切られている。
思想や主義のすれ違いによるものとはいえ、何度も続けば良い感情をもてるわけもない。
真九郎が交渉の場でもないのにわざわざ挑発的な言葉をぶつけてみたのも、その感情の表れだった。
「……《星?》と《斬島》を飼うなんて、貴方、正気とは思えないわ」
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