柔沢ジュウ「雨か」 堕花雨「お呼びですか?」
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299: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2016/10/14(金) 22:21:25.90 ID:J8WJ1/+kO
偽とはいってもホームページや会社のビルまであることになっており、ネタばらしをするなら、銀子の手によって作られた架空の会社である。
もちろん、名前のところにも偽名が使われている。
真九郎も裏の世界で名前が広まっており、いつどこにどんな人間がいるかわからない場所では、いつも銀子が作ってくれた設定に頼っている。
裏の世界の人間ならば誰もが知る伝説の情報屋・村上銀次。
その全てを受け継いだ孫娘である銀子の情報操作は、ちょっとやそっとでは暴くことはできない。
真九郎は夫人に実態のない会社の説明をするが、彼女はさして興味もないのか、適当に聞き流しているようだった。
今回のようなスタイルでパーティーに潜入するのは別に初めてではない。
裏世界での知名度は上がったとはいえ、表世界の人間にまで認知されるほどではない。
それこそ道行く人が皆振り返るような、最高の揉め事処理屋と呼ばれた柔沢紅香ほどの目立つ人間であれば別だろうが、裏世界でどんなに仕事をこなそうが表世界では見向きもされないのだ。

「それにしてもお若いのね。失礼ですけれどおいくつ?」

「見た目ほど若くはないと自負しております。マダムこそ、随分とお若いのですね。それにお美しい」

「まあ、お上手」

夫人は口元に手を当てて上品に笑う。
最近はこんな社交辞令にも慣れてきて、口にする度に顔が赤くなるようなこともなくなった。
それから他愛もない話を二、三して、「すみません、お手洗いに」と言って夫人と別れた。
手を振る夫人を尻目に、ホールを出る。
出入り口付近にいたボーイに声をかけてグラスを二つ受け取り、トイレとは反対の方向にある階段を下って、屋敷の庭園へ出る。
無論、酔いを醒ましに来たわけでも、気まぐれに散歩をしているわけでもない。
この庭園は、つい先程まで真紅郎がいた3階のパーティーホールからよく見える位置にある。
上から一望することで、侵入者や危険物などをSPなどがいち早く発見できるようにするためだ。
しかし、この屋敷の所有者の趣味だろうか、庭園全体に薔薇などの草木が植えられており、視界が悪くなっている。



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