263: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2016/05/10(火) 20:19:32.26 ID:FMHwTD6FO
一周してジュウが元の店に戻ってくると、光の姿が見えなくなっていた。。
他の店に移ったかと近くの2、3店舗を見てみるが、そこにもいない。
それほど時間は経っていないはずだが、どこに行ったのだろうか。
電話を掛けてみようかとも思ったが、そもそも連絡先を知らない。
どうしようかと思案していると、店員がジュウに近寄ってきた。
「お客様、お連れ様ならこちらですよー」
お連れ様、と言うのは光のことだろうか。
この店にそれほど長居したわけではなかったが、どうやら顔を覚えられていたらしい。
他に手がかりもないので、店員に促されるままに店内を歩いて行く。
こちらです、と店員に案内されたのは、試着室の前。
カーテンによって仕切られている空間の足元には、光の履いていたショートブーツが揃えられていた。
なるほど、姿が見えなかったのはこのカーテンの向こうにいるかららしい。
「光、戻ったぞ」
「あっ!? ああああああんたもう戻ってきたの!?」
よほど驚いたのか、カーテンが光の動きによって大きく揺れる。
その拍子に中が見えるようなことはなかったが、ジュウは念の為に視線を逸らした。
「試着してんのか? 待っててやるから、早めに済ませろよ」
件の同級生がいないとわかった以上、こんな居心地の悪い空間に長居するのはごめんだ。
目的を達したのなら、ジュウは晴れて御役御免となる。
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