262: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2016/05/10(火) 20:18:17.75 ID:FMHwTD6FO
「光、例の奴は来てるか?」
「え?」
「だから、お前に付き纏ってる同級生のことだよ。見る限りではいないみたいだけど」
ジュウの問いに光は暫く呆然とした後、あ、と小さく音を漏らした。
「……まさか、目的を忘れてたのか?」
「そ、そんなわけないでしょ! えーと、その、あれよ。ここに入る前まではいたわよ……たぶん」
「ふうん」
もう一度あたりを見回してみるが、それらしき人影は見えない。
ジュウと光の様子を見て諦めたのか、それとも、どこかこちらからは見えない位置に隠れているのかもしれない。
「ちょっとこの階を一周りしてくる。お前はこの辺にいてくれ」
用心に越したことはない。
そんなに大きな建物でもないし、一周してそれらしき人物がいなければ、おそらく諦めたと見ていいだろう。
後ろから光の呼び止める声が聞こえるが、すぐに戻る、と言い残して歩き始めるジュウ。
歩調は一定にせず、物陰や人の隙間、店の中なども注意深く観察する。
ジュウと光が現在いるフロアは女性物のみせしかないらしく、たまに店員から訝しげな視線を向けられるが無視。
ランジェリーショップなどもあるが、ここは流石にスルーした。
ジュウは、相手が男一人でこんな店に入れるような度胸の持ち主ではないこと祈った。
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