258: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2016/05/10(火) 20:16:31.75 ID:FMHwTD6FO
光は雪姫の視線を真正面から受け止め、見つめ返している。
また暫くそうして、やがて雪姫は、ふうん、と言ってフォークを残っていたケーキに突き刺し、一口で平らげた。
「わかったわかった。そういうことならしょうがないよね。今日は帰りますよ」
ケーキを嚥下し、紅茶を一息に飲み干すと、雪姫は漸く納得したようだった。
光とジュウは、心の中で胸を撫で下ろす。
「じゃあ、ここは柔沢くんの奢りね」
「おい待て、なんでそうなる」
「奢ってくんなきゃ帰らない」
ジュウは再び言い返そうとしたが、目的を優先するために折れることにした。
レシートを持って支払いを済ませ、店外に出る。
先に出ていたらしい雪姫が、光に何か耳打ちをしている。
何を言われたのか、光は身体をビクつかせ、一歩離れた雪姫と目が合うと、途端に耳まで赤く染め上げた。
「おい、またなんか余計な嘘を教えてるんじゃないだろうな」
「私はね、この世のシンリってやつを教えてあげてたのだよ」
「もういい加減満足しただろ。とっとと帰れ」
ジュウがしっしと手を振って追い払うと、何が楽しいのか雪姫は大げさに手を振りながら帰っていく。
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