214: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2015/12/21(月) 22:20:21.98 ID:Hg+7sYzLO
ゴミを片付けている真九郎の腰にしがみついて絡んでいる女性は武藤環。
どこぞの空手道場の師範代で、大学を卒業して以来ますます酒癖が悪くなった。
そして、環とは別次元の大酒飲みがもう一人。
「ぎゃはは! 紅くん、ほれほれ、アルコールぶしゃー!」
消毒用アルコールを片手に卓袱台の上に胡座をかいている人物の名前は、星噛絶奈。
裏十三家の一角、《星噛》家の現当主。
かつては真九郎と敵対し、一騎打ちまでした絶奈だったが、紆余曲折あって現在は宿無しのホームレスであり、仕方なく真九郎が環の部屋に放り込んだ。
環と絶奈はあっという間に意気投合。
以来、真九郎の悩みの種が一つ増えるどころか相乗効果で何倍にも増え、もはやノイローゼ気味ですらある。
夕乃や銀子がいるときは比較的静かにしている(以前真九郎のいないところでヤキを入れられたらしい。因果応報だ)が、それ以外ではこの惨状である。
「……真九郎」
「ごめんな紫、片付けたらさっさと追い出すから――」
「これが、ダメな大人というものなのだな……」
「…………」
久々に見る身近な大人の醜態を見てそんなことを呟く紫の瞳は、どこか遠くの景色を映していた。
〜〜
部屋の片付けを終えて二人を環の部屋に押し込むと、真九郎は漸く夕食の準備に取り掛かった。
今から買い物に行ったのでは夜も更けてしまうので、適当に余り物で作ることになった。
ちょうど挽肉とトマトが余っていたので、スパゲティだ。
真九郎としては外食でも良かったのだが、紫が「真九郎と二人きりの方が良い!」と言うので、真九郎は快く従った。
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