213: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2015/12/21(月) 22:19:35.58 ID:Hg+7sYzLO
嬉しそうに笑うその表情は、出会った頃と変わらずとても愛らしい。
成長期らしくこの数年で大きく伸びた身長は、既に真九郎の肩に迫る勢いだ。
本人曰く、胸の成長が芳しくないのが不満らしいが。
ともかく、そんな聞く人間が聞けば狂喜しそうな、紫の殺し文句を微笑ましく感じつつ、真九郎は一つの提案をする。
「それなら、久々に五月雨荘に来るか? 環さんも会いたがってたし」
「それも良いな! 真九郎の手料理も久しぶりに食べたいし」
真九郎の腕にぶら下がったまま、ゆらゆらと揺れる紫。
こういった仕草は、歳相応の実に可愛らしいものだ。
「真九郎、にやにやしてる」
「楽しいからな」
「ふふ! 私もだ!」
寄り添いながら、二人は五月雨荘に足を向けた。
〜〜
真九郎は五月雨荘の自分の部屋に入ると同時に、ここに来たのは間違いだったのだと悟った。
何故なら、昼から飲んだくれている大人が二人、真九郎の部屋で管を巻いていたからだ。
部屋には空になったビールの缶やつまみの袋が散乱し、鍵をかけていたはずのドアノブは破壊されて廊下に転がっていた。
「あー? しんくおうくん、あたしの酒が飲めないってぇのー?」
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