212: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2015/12/21(月) 22:18:41.79 ID:Hg+7sYzLO
「あ、ごめんごめん。なに?」
「……今、違う女のことを考えていただろう」
紫の指摘に、ギクリ、と顔が引き攣る真九郎。
紫は昔から勘の良いところがあったが、年々その能力は向上しているような気がする。
夕乃もそうだが、どうしてこう女性というのは勘が鋭いのだろうか。
なんにせよ、紫には隠し事や嘘は無意味。
真九郎は素直に認めることにした。
「ごめん、ちょっと弥生さんとの実力差について考えてた」
「夕乃のこともな」
「……はい」
この子は本当に他人の頭の中が見えるのかもしれない。
そんなことがあるはずはないが、しかし、そう考えてしまうのも無理のないことだ。
真九郎は背中に冷や汗が流れるのを感じながら、話題転換を図る。
「今日はこの後、どうするんだ? 騎馬さんからは何も聞いてないけど」
「うむ、本当は予定が入っていたのだがな。相手側の都合でキャンセルになったのだ」
真九郎と繋いでいた手をパッと離し、今度は腕に抱きつくようにする紫。
その二の腕に頬ずりをしながら嬉しそうに笑う。
「だから、今日は真九郎だけの私だ!」
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