210: ◆yyODYISLaQDh[saga]
2015/12/21(月) 22:17:35.15 ID:Hg+7sYzLO
彼女がそれを望めば、真九郎はいつでも紫の前から消える準備をしてある。
しかし今のところ、紫がそんなことを望むは様子はない。
その事実に喜びを感じるとともに、自嘲の笑みすら零れる。
「真九郎!」
軽い足音とともに、真九郎の胸のあたりに小さな衝撃。
視線を下げると、長い黒髪が真九郎の視線の先に揺れていた。
「少し遅れた! 待ったか?」
ぱっと顔を上げた紫と目が合う。
その表情は嬉しさが満面に広がっており、もともとの目鼻立ちの良さが更に可愛らしく見える。
真九郎はそんな紫の頭に手を乗せて、わしゃわしゃと撫でてやる。
紫はされるがままになっており、嬉しそうに小さく笑い声さえ漏らしている。
尻尾がついていれば、それは大きく左右に振れているであろう。
しばらくそうしてから、真九郎は紫の頭に手を置いたまま話を続ける。
「俺もさっき来たぐらいだから、10分ぐらいかな。なんかあったのか?」
「うん。明日は国語のテストがあるのでな、友達に質問攻めにあって大変だった」
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