138: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2015/05/26(火) 21:43:47.54 ID:9m0+RSJ8O
真九郎はその気遣いに感謝しながら、今まで自分でその考えに辿り着かなかったことに頭を抱えた。
二十歳も超えているのに、自身の生活力の無さに辟易する。
五月雨荘で一人暮らしを始めるときは、夕乃や冥理がなんだかんだと世話を焼いてくれたので、真九郎が自分で揃えた生活必需品はかなり少ない。
年数を重ねるにつれて家電は買い替えたりもしたが、基本的に物持ちが良いのでそれも1回や2回程度。
食器や寝具などはずっとそのまま使っている。
事務所を立ち上げるとき、再三に備品を確認したというのに、とんだ見落としである。
「どうぞ」
「え?」
いつの間に淹れたのか、真九郎の目の前には緑茶が差し出されていた。
切彦にそんな気遣いができるわけもないので、もちろん淹れたのは麻里子である。
真九郎がかるくおちこんでいるのを励まそうとしているらしい。
ありがとうございます、と礼を言い、湯呑みに口を付ける。
程よい苦味と温かさが心地いい。
「おいしいです」
「おかわりもありますよ?」
507Res/213.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20