10: ◆yyODYISLaQDh[sage saga]
2014/11/25(火) 20:37:36.20 ID:tQslcSvIO
遠回しな言い方をしても結局こういう結果になってしまうのは、この一年で嫌というほど身に沁みている。
光にとって敵であるジュウを頼らなければいけないというのなら、それは相当な悩みである筈だし、姉に言いづらいことだとしても、雨は妹の力になりたいと思うだろう。
だからこそ、こういう言い方をしなければ、雨はどこまでも食い下がる。
今回は光の頼った先がジュウであったこともあるので、ジュウが命令することで、雨も渋々、引き下がることができたのだ。
なにせ、騎士だの従者だの云々は、雨から言い出して来たことなのだ。
雨からすればジュウの命令は絶対だし、ジュウの意見がそのまま雨の意思になる。
「…………ばか」
光もおそらくそれをわかっている。
わかっていて、もっと他の言いようがあったのではないかとも思うが、それも考えつかないのか、搾り出した罵声は、短く、小さなものだった。
「…………」
ジュウは、その短い一言にどう答えるべきかわからず、口を閉じた。
軽口を言う雰囲気ではないし、開き直るべきでもない。
結果的に二人は沈黙を保ったまま、冬の屋外で冷たい風に曝されることになった。
身体を小さく震わせると、寒さに対してそこまで強くないジュウは辺りを見回し、取り敢えず暖を取ることを選択した。
「取り敢えず、そこのファミレスにでも入るか。寒いしな」
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