千奈美「ようせいさんとおねえさん」
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592: ◆S0mvz1PntgQY[saga]
2016/09/20(火) 04:47:00.42 ID:hFhRzfxk0

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着替え、ヘアセット、メイク直し。全て終わって第二控室に入ったアタシを迎えたのは、一年半ぶりのメンバー。


「お疲れ様。遊佐さんとのステージ、よかったわよ」

「あれは、こずえの仕事ですよ」


声を掛けてくれた千秋さんは微笑んで、目を細めた。


「そういうことにしておくわね」

「泣いたわよ、って。言わなくていいの?」


千夏さんの横槍。アタシは思わず、えっ、と変な声を上げて千秋さんの顔を見直す。


「ッッ、そ、それは…… その…… ええ。はい。どうしてかしらね、遊佐さんと二人で、笑顔で顔合わせてるところを見たら。何故か」


千秋さんの素直な評。同じアイドル、しかも自分のデビュー当時の同僚が、今の自分のステージで泣いた、という。ファンが泣いた、のとはワケが違う、気がする。


「……あ、ありがとう……?」

「なんでおっかなびっくりなのよ」


苦笑いする礼子さん。……トレーナーさんが、膝のテーピングを直してる。


「いや、なんか……慣れなくて。礼子さんは、膝、どうですか」

「幸い、今日のところは痛みはないわね。ま、有ろうがなかろうが、ここからは全部やるわよ」

「正直、無理はさせたくないんですけど」


アタシの遠慮がちなつぶやきに、あいさんが横で肩を竦めた。


「みんなそう思ってるよ。だけど、多分、我慢させるほうが、無理なのさ」


礼子さんは、憂慮を払いのけるように手をひらひらと仰ぐ。



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