男「……いよいよメラが使える様になるとか末期だな俺は」
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703:名無しNIPPER[saga]
2016/02/20(土) 21:24:49.31 ID:bcgHFL1Ko


店員の向けていた視線の先。

濃密な異物感……或いは、それが気配という物だろうか。

日常的に見える住宅街の向こう、繁華街に通じている大通り沿いにある一本のビル上に奴は居た。

距離にして約500m。


主任の言葉通り、そこには緑衣の人型が立っていた。

ただの人形やモンスターではないと確信出来る程の存在感。


男(間違いない、アイツが……!)


主任の住んでいたマンションを襲い、各地域でその存在を何度も見せていた。

まさに黒幕、あの怪物こそが主任にとっての仇敵に他ならない。


エビルマージの動きが無い事を確認して、俺はギターケースから鋼の剣を取り出した。


男「主任、セイバー、相手は八魔将の一人だ」

主任「……」コクンッ

男「エビルマージは三人でやれば勝てない相手じゃない筈だ、行くぞ……!」


店員「お二人は先に行ってください」


男「……!?」


真っ直ぐに緑衣の姿を捉えたままで告げる店員の背中を、俺は背後から見た。

声音だけではない。

キャラクターになりきるのとは別に、彼女は全身で俺と主任がいる事に落ち着きを取り戻せずにいたのだ。


男(そういう事か)


つまり、彼女は今日これだけの事態になってから余裕が無かったのは俺達の存在があったから。

『守らなければいけない』という概念は、俺よりも年下で日本人である以上欠けている、実戦における多大な緊張を与えるに違いない。

1ヶ月前に俺が負傷した主任を守るために、死神と一騎討ちした際にそれは痛感した。

一人で戦っていた時間が長ければ長いほど、誰かと共に戦う事が不安に思えてしまう。


そして今。

店員は感じ取っているのだ、今までとは別格の相手を前にして俺達の存在が足枷になりかねない事を。





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