忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]
2015/03/14(土) 00:29:37.32 ID:uXxto72B0
「……ありがとう、ございましたっ!」
ビクッとした。
コーチや監督に怒号を飛ばされた時のように、身体が震えた。
その声は、そういった人の野太いものに比べて、ずっと甘かったのに――
ゆっくりと、振り向く。
そこにはベンチから立ち上がり真剣な表情をしている、大好き「だった」相手の姿があった。
自分も寒いだろうに、その姿からは全くそういった気配を感じさせない。
「わ、私もっ! 『好き』っていうことが、よく分かっていませんでした!」
「……!」
「でもっ! いざ私がこ、告白されて……それでやっと分かりました!」
真剣な佇まいでありながら、緊張は全く隠せていない。
さっきから相手の口から出てくる言葉は、何だかまとまりのないものに感じられた。
でも彼の心に、ビシビシと響いてくる力は、たしかにあった。
コホンと、「彼女」は一息ついて、ゆっくりと言う。
「私は、えっと……そ、そちらとはお付き合いできません。ですが……」
そこで、相手としっかりと視線を合わせ、
「そちらが気づかせてくれなかったら、私は……きっと、幸せにはなれませんでした。本当に、そう思います」
「……」
最後まで、相手の話を聴いた。
もし、彼が複雑な心境になっても無理はないだろう。
「自分が告白されなかったら、相手を『好き』だとは分からなかった」と言われても、どう反応すればいいのか。
「――参ったな」
クルッと、相手に背を向けた。
後ろで、ピクッと反応する「彼女」の姿が目に見えるようだった。
「大宮さん。そういうこと、言われちゃうと」
大丈夫だ、まだ口調に変化はない――
しっかりと、最後まで伝えなくては。
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