忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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502: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2015/03/14(土) 00:30:03.53 ID:uXxto72B0


「嬉しくなったり悲しくなったり、どうすればいいか分からなくなるって」
「……ごめんなさい。それでも、絶対にお伝えしたかったんです」


 彼の背に、「彼女」の言葉が被さってくる。
 それを聞きながら、思った。
 きっと「大宮忍さん」も、どう伝えればいいかで悩んだんだろう、と。
 ただ断れば済む所を、しかしそう割り切ることは出来なかったんだろう、と――。


「……あのさ、大宮さん」
「はい」


 再び、彼は相手と視線を合わせる。
 彼の表情を見て、「彼女」は少しだけピクッとした、ように見えた。
 正確には、彼の目元を見て――


「もう一度、言うけど……」


 気づけば、辺りは少しだけ明るくなっていた。
 太陽は雲に挟まったり、その外に出たりしていた。
 折しも今、太陽は完全に雲から離れていた――


「絶対に、幸せに、なってくれ」


 言葉を区切りながら言って、笑顔を見せる。
 目元を少しだけ潤ませながら、しっかりと。


「……はい。お約束、します」


 相手――大宮忍も、笑った。
 それだけで、彼にとっては十分だった。
「じゃあな」と二度目の別れの挨拶をして、彼は公園を出て行った。
 その背中は、最後までしっかりと伸びていた。


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