忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
1- 20
410: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2015/02/01(日) 00:30:36.03 ID:sef3L+Kl0
 次の瞬間。
 私の腕には、柔らかな感触が広がりました。
 顔には、可愛らしく風になびく金髪が触れています。


「シノ……」


 腕の中から、アリスが小さく声を出しました。
 私は、ギュッと抱きしめます。腕の中にいる、ガラス細工のように脆く柔らかい彼女を壊さないように。


「私はアリスが置いていかれた、なんて思ってません」
「……」
「それはですね、アリス」


 そう言いながら、私は少し腕を緩めました。
 そして、腕の中から現れたアリスの瞳と、視線をしっかりと合わせます。


「アリスの可愛さに、皆さんがまだ気づいていないってだけです。
 そして、私以上にアリスの可愛さを知っている人はいません」
「……シノ」
「これだけは、自信があるんですよ?」


 そう言って、にこやかに笑ってみせます。
 大丈夫、もう大丈夫です。
 さきほどカレンに指摘されたようなムリ、なんてことは――


「それじゃ、シノ。私には……」


 ――ない、はずです。


「え、えっと……キス、して」


 ない、はずでした。過去形です。ごめんなさい、ムリでした。


「な、なんて――私、言わないよ?」


 そして、アリスは顔を赤らめながら上目遣いをしてきました。
 どうすればいいんでしょう? 
 正直な話、私の理性はさきほどから揺さぶられていて、壊れる寸前一歩手前にあるような気がします……。


「だって……そうしたら」


 全部、壊れるような気がしちゃうから。
 アリスは静かに、そう言いました。


「……」
「ご、ごめんね、シノ? からかったわけじゃないよ」


 私だって、ホントはね――
 そこまでは聞き取れましたが、それ以降は聞き取れませんでした。
 それが何故なのかは、すぐ近くで、頭上に湯気をあげて黙りこんでしまった金髪少女を見れば一目瞭然でしょう。


「……と、とにかく!」


 しばらく唸った後で、アリスは頬を染めながら、私を決然と見つめます。厳しい表情です。
 ちなみに、まだ私の腕の中にいるので、その厳しさは可愛らしさに巻き込まれて消えました。
 いけない、真剣にならなくては――


「シノ! 私も、シノのことが好き――『大好き』なんだからね!」


 真剣になった反動で、私の理性は余計に強いダメージを受けました。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
713Res/681.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice