忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]
2014/12/05(金) 01:55:43.94 ID:5/HVdI+M0
「……」
気づけば、身体が勝手に動き出していた。
男の人がいる、といったような考えは働かなかった。
それ以上に、どこか放心しているように見えるシノのことが心配だった。
(待ってて、シノ――!)
静かに、けれど急いで二人の元へ向かおうとすると、
「ごめんなさい、少しいいかしら?」
聞き馴染みのある声が、した――
――ずっと昔から。
それこそ、陽子ちゃん以上に馴染み深い声が聞こえました。
「私、ここの高校のOGなんだけれど……」
「は、はぁ……」
その声につられて、私は目の前の方から頂いたメモから目を離しました。
見れば、すぐ近くに大切な人がいます。
長い髪。昔から憧れていた、綺麗でどこまでも女の子らしいスタイル。
そこにいたのは、何を隠そう、私のお姉ちゃんでした。
「実は今、うちの高校、いわゆるナンパ活動に厳しくなっちゃったみたいで」
「……へ?」
呆ける男性の前で、お姉ちゃんはゆっくりと言葉を紡ぎます。
そのすぐ後ろには、こっちに来ようとしてくれた綾ちゃんの姿がありました。
男性がいるのにも関わらず、こちらに来て私を助けようとしてくれたのでしょうか。
どうやら私の考えていた以上に、綾ちゃんは変わっているようです――
「それでね、ええと……今、怖い先生がこの階を見まわってるのよ」
「……?」
お姉ちゃんの言葉に相手の男性は、ほんの少し訝しげな視線を向けました。
無理もありません。お姉ちゃんは、この高校のOGではないのですから。
だから今、お姉ちゃんが言い淀んだことに疑問を持ったのでしょう。
「だから、その――」
尚も歯切れの悪いお姉ちゃんは、こちらから見ていてもドギマギとした様子でした。
ああ、そろそろまずいかもしれません。
このままでは――ちょっと、ややこしいことになってしまいそうです。
これ以上、お姉ちゃんに任せきりではいけません。
「あ、あの」
私がそう、口を挟もうとすると――
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