忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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364: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2014/12/05(金) 01:55:43.94 ID:5/HVdI+M0


「……」


 気づけば、身体が勝手に動き出していた。
 男の人がいる、といったような考えは働かなかった。
 それ以上に、どこか放心しているように見えるシノのことが心配だった。


(待ってて、シノ――!)


 静かに、けれど急いで二人の元へ向かおうとすると、


「ごめんなさい、少しいいかしら?」


 聞き馴染みのある声が、した――
 






 
 ――ずっと昔から。
 それこそ、陽子ちゃん以上に馴染み深い声が聞こえました。
 

「私、ここの高校のOGなんだけれど……」
「は、はぁ……」


 その声につられて、私は目の前の方から頂いたメモから目を離しました。
 見れば、すぐ近くに大切な人がいます。
 長い髪。昔から憧れていた、綺麗でどこまでも女の子らしいスタイル。
 そこにいたのは、何を隠そう、私のお姉ちゃんでした。


「実は今、うちの高校、いわゆるナンパ活動に厳しくなっちゃったみたいで」
「……へ?」


 呆ける男性の前で、お姉ちゃんはゆっくりと言葉を紡ぎます。
 そのすぐ後ろには、こっちに来ようとしてくれた綾ちゃんの姿がありました。
 男性がいるのにも関わらず、こちらに来て私を助けようとしてくれたのでしょうか。
 どうやら私の考えていた以上に、綾ちゃんは変わっているようです――
 

「それでね、ええと……今、怖い先生がこの階を見まわってるのよ」
「……?」


 お姉ちゃんの言葉に相手の男性は、ほんの少し訝しげな視線を向けました。
 無理もありません。お姉ちゃんは、この高校のOGではないのですから。
 だから今、お姉ちゃんが言い淀んだことに疑問を持ったのでしょう。


「だから、その――」


 尚も歯切れの悪いお姉ちゃんは、こちらから見ていてもドギマギとした様子でした。
 ああ、そろそろまずいかもしれません。
 このままでは――ちょっと、ややこしいことになってしまいそうです。
 これ以上、お姉ちゃんに任せきりではいけません。


「あ、あの」


 私がそう、口を挟もうとすると――


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