忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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241: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2013/12/14(土) 17:44:41.38 ID:Kls8wf240
 ――大宮と猪熊って、仲良いよなぁ――

 ――昔からずっと、一緒だもんねー――



(……いやいや、ちょっと待て)


 どうしてこのタイミングで、こんな記憶が浮かんでくるんだ。
 そりゃまぁ、イサ姉に頼まれたこともあって、私とシノは一緒にいることが多かった。
 だから、私にとっては、当たり前で……。



「……」
「――陽子」
「あ」


 隣を見ると、綾が心配そうな表情をしている。
 いけない、帰り道でぼんやりとするなんて。


 結局、5人で帰っている間、私はずっとおかしかったと思う。
 シノも、何だか様子が変だったし。
 ……なんだか、アリスやカレンには悪いことをしたような気がしてならない。
 あの二人が、シノを『特別』と思っていることは――


「ごめん、綾」
「……」
「な、なんか、寝付けなくってさー。それで、カラスちゃんの間延びした声で話されると眠くてしょうがなくて――」


「陽子、ちょっといい?」


 やれやれ。
 誤魔化しなんて、綾に通用するわけがないんだよね。
 この友人の鋭さは、私にだってそれなりに分かっているつもりだった。


「……なに?」
「その――はっきりさせたほうがいいんじゃない?」
「……」


 どういうこと、なんて突っ込むのは野暮か。
 私とシノと、付き合ってきてくれたんだから、そりゃ察するはずだ。


「――そう、なのかな」


 思い返す。
 抜けるように白い、およそ男とは思えない肌のシノ。
 男子に何か言われても、嫌な顔一つせずに話しに行くシノ。

 ……私のためにも、シノのためにも。



「ありがとな、綾」


 肩をポンと叩き、私は彼女に礼を言う。
 そして、すぐさま行き先を変えて、駆け出した。
 どこに行くかなんて、決まっている。


 と、後ろから、綾の声がした。


「あ、あなたがおかしいと、私たちも困るんだから……」


 その言葉に、私は何だかとても嬉しくなる。
 でも、敢えて振り向かずに、そのまま走っていく――


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