忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]
2013/12/14(土) 17:45:47.02 ID:Kls8wf240
「……まったく」
陽子が走り去っていくのを見て、私は溜息をついた。
これで、良かったんだろう、多分。
陽子と「あの子」がはっきりしないと、どうにも私やアリス、カレンも落ち着かないし。
……うん、それだけ。
「――陽子、シノ」
それだけ、なんだ、きっと。
だから、今締め付けられるようなこの胸の感覚も、気のせいで――
「……はぁ」
帰ろう。
そして、後でやって来るはずの連絡を待とう。
――ベッドにでも寝転べば、こんな感情は飛んでいってしまうだろうから。
「……」
ケータイを閉じると、私は支度をします。
制服のままだったので、私服に着替え、鏡の前で確認。
……普段なら、確認なんてしないのですが。
階段を降りて靴を履き、ドアに手をかけたところで、
「シノ……?」
後ろから、声がしました。
その愛しい声に、私はピタッと止まります。
「アリス――」
振り向けば、そこには不安そうな表情を浮かべる大切な女の子の姿。
彼女は、胸の辺りでギュッと握りしめ、何やら耐えているように見えました。
……何に耐えているのか、何となく分かることに、罪悪感を覚えます。
「ちょっと、陽子ちゃんと会ってきます」
そう言うと、彼女はハッと顔を上げました。
その表情に、心が揺れるのを、確かに感じました。
「……それでは」
「シノ」
ピクッと止まり、私は再びアリスの方を振り向きます。
彼女は、目を彷徨わせた後で、
「――な、なんでも、ない、よ」
何かを言わんとしているのは、私がどんなに鈍くても分かりました。
ただ、敢えて追及はしません。
「大丈夫ですよ、アリス」
ガチャッとドアを開け、私はもう振り向かずに、ゆっくりと、
「……アリスはずっと、『特別』ですから」
ドアを、閉めました。
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