忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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170: ◆jOsNS7W.Ovhu[saga]
2013/11/11(月) 01:56:07.94 ID:S2zVCSa60
「――アリスは、おかしな事を言いますね」


 忍は、アリスの発言を意に介した風もなく、一旦アリスから腕を離した。
 そして、アリスの前に周りこんで、座り込む。


「そうですよ、確かに私は――」


 そこで、一旦区切り、


「『ボク』は、男です」


 それはいつか、アリスの故郷で言った一人称。
 あの時、忍はハッとして口を塞いでしまった。
 けれど、今はもう――


「……そうですね、たしかにアリスと会う時までは」


 忍は、どこか懐かしそうに、言葉を紡いでいく。
 その仕草もまた、どこまでも女性らしい。


「こうして、自分のことで悩むことだって――あったかも、しれません」


 似合いませんよね、と忍はアリスに微笑んでみせた。


「その度に、陽子ちゃんや綾ちゃんに心配してもらって」


 楽しそうに言葉を続ける忍の表情からは、いつかの憂いなど窺えなかった。


「――アリスと、こうしてまた会えて」


 再び、忍は静かにアリスを抱き寄せる。


「それだけで、なんて嬉しいか……」
「……もう、シノってば」


 アリスは、顔を赤らめながら、笑った。
 何だか、迷っている自分が恥ずかしくなってしまう。


 ここにいる忍は、たしかに――



 ――ハロー!――

 ――コニーチハー!――


 心を触れ合わせた、大切な相手なのだから。

 性別がどちらであろうと、それはたしかに――



「シノは、シノだもんね」


 それだけで、十分ではないか――


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