らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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42:ひよりの旅 78/112[saga sage]
2013/02/11(月) 21:01:48.48 ID:W145K4B60
ひより「あの、妊娠の件なんですが……御相手は?」
かがみ「そう、この前言っていた彼、恋人、小林ひとしさん……」
すんなりだった。顔を赤らめる事もなくはっきりと言った。小林ひとし、初めて聞く名前ではない。もう既に会っている。
ひより「どうして……」
かがみ「私は彼が好き……だから彼を受け入れた、それだけよ、他に何か必要なの?」
そう正々堂々と言われると言い返せない。もうこの二人は恋人じゃない、愛し合っている。夫婦といってもいいくらい。あの時の小林さんの態度を見ても明らかだ。
ひより「い、いや、それだけで充分だと思います、だけど……」
かがみ「……だけど私には時間がない、私のした事は間違っている……そう言いたそうね」
いちいち私の先回りをするかがみさん。いや、まだ時間がないと決まった訳ではない。
ひより「私達はまなぶさんの協力を得てかがみさんの病気を治す方法を探しています、まだ諦めないで……」
かがみ「お稲荷さんの秘術、それとも知識を使うと言うの……嬉しいじゃない……その気持ちだけでおなか一杯」
ひより「絶対に成功させますから……」
かがみ先輩は目を閉じた。
かがみ「ひよりは後何年生きる、十年、二十年、五十年……もっとかしら、私は後何年生きる、半年、一年……もう少しかしら……期間の違いはあるけど必ず私達は
    死ぬのよ、どんな技術か秘術かしらなけれど、命を救うなんてそう簡単には出来ないわ、絶対なんて言わない方がいい」
かがみさんはもう諦めている……そんな気がしてきた。
ひより「そんな悲観的な……」
かがみ「ふふ、ひより達がしようとしている計画が失敗しても私は怒ったりしないわよ、てか、死んだら怒りようがないわね」
ひより「こんな時になにを冗談なんか……」
かがみ「私は何も特別な事を望んでなんかいない、只、普段通りにしたいだけ……食べて、飲んで、笑って、怒ってそして愛するだけ、一つ心残りなのは私が死ねばお腹の
    赤ちゃんも亡くなる……これくらいね」
私ににっこり微笑みかける。私は何も言えずにた。そしてかがみさんは目を開けた。
かがみ「私のつまらない話しを聞いてくれてありがとう、さて、これからいのり姉さんと佐々木さんをくっ付ける計画を話しましょ……」
ひより「は、はい……」
かがみ「私ね、いのり姉さんはささきさんの事が好きなのは確かだと思うの……それでね」
……
……
 かがみさんの話はいつもと同じ口調、ときより冗談を交えながら話していた。
かがみさんは諦めている。そう、もう自分は助からないと覚悟を決めている。だけど……何故だろう。そこからは悲しみや怒りとかは出てこない。
そして希望や絶望も感じさせない。
かがみさんを呪ったお稲荷さん、たかしは憎くないのだろうか。友達や家族と別れるのは辛くないのだろうか。
死ぬ前になにか遣り残した事はないのだろうか。何か欲しい物は……
幾らでも出てくる未練や無念……でもかがみさんからはそんなのは感じない。それでいて自分が死ぬと言う事実から逃避しようとしている訳でもない。
そう、まるで私達が普段何気なく暮らしている日々と一緒にの様な……
普段……かがみさんはそう言った。
そうか、かがみさん病気が治るのを諦めているけど生きるのは諦めていない。だから冗談を言ってふざけもするし、恋愛だってする。赤ちゃんだってその中の過程に過ぎない……
周りの人がかがみさんを気遣いするのは返ってかがみさんにとっては鬱陶しいだけ……だから内緒にする……そう言う事なのか。
……
……
かがみ「それでね、ひよりには佐々木さんの引越しを止めてもらいたい、いや、思い滞めさせるだけでも良いわ……方法は任せる、お稲荷さんの扱いはひよりの方が慣れているでしょ」
いやいや、かがみさん、貴女はそのお稲荷さんを恋人……いや、夫にしていますよ。心の中でそう呟いた。
もしかしたら、彼がお稲荷さんでも人間でもどちらでも関係ないのかもしれない。もう私が二人に関して何かする事はもうない。二人で解決するに違いない。
ひより「はい、任せて下さい」
かがみ「お、いつものひよりに戻ったわね」
ひより「私は何時でも私ですよ、かがみさんと同じです」
私はウィンクをして笑った。そして家族が誰も居ない日に私を呼んだ意味も分かった。
かがみ「……ひより、分かってくれた……うぅ」
かがみさんの目から光るものが零れ落ちた。
ひより「どうして泣くのですか、私はかがみさんを理解しましたよ」
かがみ「ひよりが大声で怒鳴った時、正直もうダメだって思った、理解者が一人も居なかったら私……もう……」
その場に泣き崩れてしまった。この時私も一緒に泣くところ。でもまだ泣けない。ゆーちゃんが言ったようにまだ助かる可能性があるのなら私はまだ諦めない……
私はかがみさんが泣き止むまで席を立たなかった。

かがみ「今日はありがとう、最後に醜態を見せてしまったわ」
ひより「いいえ、私もいろいろ至らぬ点もあったと思います……」
私達は両手でしっかりと握手をした。
かがみ「つかさとみゆきがしようとしている事が成功すれば私達人間の世界観や価値観を根底から変えてしまうような大きな事、羨ましい、私もその一員に入りたかった、
    だけど私には時間がない、せめて……いのり姉さんの手伝いくらいはしてやりたい……」
ひより「それは普段からしているじゃないですか」
かがみ「そうかしら」
ひより「はい」
私は微笑んだ。
かがみ「……それじゃまたね」
ひより「また……」
別れ際のかがみさんがとても淋しそうに見えた。




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