らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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ひよりの旅 69/112
[saga sage]
2013/02/11(月) 20:51:51.14 ID:W145K4B60
私は気が付いた。今までゆーちゃんに言っていたのは間違えだった。親しくなった人に対して
他人事なんて言えるはず無い。かがみ先輩の病気でそれが分かった。私はゆーちゃんの喜怒哀楽を観て弄んでいただけだった。
そう言われても反論できない。今までゆーちゃんに言ってどれほど傷ついたのだろう。バカ……私のバカ……コミケ事件からまったく私は変わっていない。
それから間もなく私は風邪をこじらせて寝込んでしまった。
もう私は何も出来ない……
『ピンポーン』
熱はは引いた。でもまだ体はダルイ。ここ数日大学にも行けなかった。たとえ私の風邪が治ってもかがみ先輩の病気は治らない。これからどうして良いかも分からない。
普段の私なら皆に事情を話してこれからどうするか決める。だけど……それすらも出来なくなってしまったなんて。
『コンコン』
ノックの音がした。お母さんかな……
ひより「は〜い」
ドアが開くとそこにはゆーちゃんが居た。私と目が合うとにっこり微笑んだ。さっきの呼び鈴はゆーちゃんだったのか。
ゆたか「おはよ〜風邪をこじらせたんだって?」
ひより「まぁね……それよりいいの、大学に行かなくて」
ゆたか「ふふ、今日は日曜日だよ」
そうか日曜日なのか。曜日の感覚がなくなってしまった。あの日以来時間がとってもゆっくりに進んでいるように感じる。
ゆたか「座ってもいい?」
ひより「良いけど、風邪……うつるかもよ?」
私の警告をよそにして私の寝ているベッドの横に腰を下ろした。そして私を優しく見下ろしてじっと見つめた。
ひより「な、何……私の顔に何か付いてる?」
ゆたか「うんん、昔からお見舞いをされてばっかりだったから、こうして誰かをお見舞いをしてみたいと思っていた、ひよりちゃんが初めてになったね」
もう少しすればもう一人お見舞いに行かなければならない人が居る……そして一度入院をすれば退院することはない。
ひより「それで、その初めてのお見舞いはどう?」
私をじっと見るゆーちゃん
ゆたか「ん〜どうかな、分からない、もっと時間が経てば分かるかも」
ひより「そう……」
私はそれ以上聞かなかった。それ以降私は何も話さなかった。ゆーちゃんも自分から話そうとはしなかった。
朝日が窓から入ってきて部屋の温度が上がった。心地よい温度だ。このまま眠ってもいいくらいだった。そんな私の心境を知ってか知らずか、ゆーちゃんはゆっくりと立ち上がった。
ゆたか「長居すると悪いから帰るね」
ひより「うん……お構いもしませんで、ごめんね」
ゆたか「うんん、お大事にね……」
ゆーちゃんは私に後ろを向いてドアの所まで移動して止まった。
ゆたか「ひよりちゃん、話してくれないの?」
話してくれない……何のことかな……
ひより「話すって……あぁ、お見舞いされた気分だね……なんだか上から覗かれて、恥かしいような……」
ゆたか「違うよ、もっと大事な事、何故黙っているの……かがみ先輩の事」
ま、まさか、どうしてゆーちゃんが知っている。そんな筈はない、かがみ先輩は内緒にするって言っていた。
ひより「な、なんの話しか分からない……」
ゆーちゃんはゆっくり振り返った。
ゆたか「取材の途中でひよりちゃんと別れて思った、ひよりちゃんは一人で柊家に行ったのに私は逃げてしまったって、だから、もう一度佐々木さんの所にに行ってみようと、
そう思って、行ったの……佐々木さんの整体院に、そこに佐々木さんは居なかった、でも、コンちゃん……宮本さんがいてね……全て話してくれた」
まなぶが話したのか。余計な事を……もう一人悲しむ人が増えるだけなのに。
ひより「全て聞いたのなら私から話す必要はないよ……もう私に出来る事は何もない」
ゆたか「ひよりちゃんらしくない、こんな時は、私に、みなみちゃんに、場合によっては高良先輩や泉先輩にだって話して相談するでしょ?」
ひより「だって……だって、かがみ先輩は内緒にしろって言うし、先輩の気持ちにを考えるともう何も出来ない」
また涙が出てきた。ゆーちゃんに見られないように布団で顔を隠した。足音が私に近づいてきた。
ゆたか「ひよりちゃん、溺れちゃったね……そう思ったから此処に来たの、ひよりちゃんが私を救ってくれたように」
ひより「溺れる、私が?」
ゆたか「他人事じゃないと人は救えない、そう言ったのは誰だっけ?」
私は布団を取り上半身を起こした。
ひより「救う、どうやって、お稲荷さんにだって治せない病だよ、何も出来ないよ……」
ゆたか「そうかな、私はそうは思わない、だって他人事だもん、なんでも出来る」
ゆーちゃんはにっこり微笑んだ。
ひより「え……」
ゆたか「やれるだけやって、それでダメなら……悲しいけど諦めるよ、でも、それまでは……諦めない、他人事ってこうゆう事ででしょ、ひ・よ・り」
ゆーちゃんは人差し指で私の額を突いた。
ゆたか「一人だけ、ありふれた物で化学物質を合成できるお稲荷さんが居るらしいの、今ね、コンちゃんとみなみちゃんでそのお稲荷さんを探してもらっている」
ひより「ゆ、ゆーちゃん……」
ゆたか「溺れるのはまだ早いよ、ひよりちゃん、かがみ先輩が亡くなるまではね、うんん、絶対に死なせない、そうだよね?」
ひより「そんな事言ったって……」
ゆたか「コンちゃんもみなみちゃんもひよりちゃんのおかげで手伝ってくれていると思ってる、私たちに任せて風邪を治すのに専念して……それから、
かがみ先輩の病気も治るように祈っていて……奇跡は滅多に起きないけどね、祈りや願いがないと起きないって誰かが言っていた、私もそう思う」
ゆーちゃんは腕時計をみた。
ゆたか「あっ、いけない、もう約束の時間、それじゃ、ひよりちゃんお大事に」
ひより「待ってゆーちゃん、わたし、私……佐々木さんと喧嘩してしまった……引越しを止められなかった」
ゆたか「しょうがないよ、あの状態じゃ私も同じ事をしてたかも、でもね、別れても生きてさえいれば何とかなるよ、今はかがみ先輩が優先だね」
ゆーちゃんはにっこり微笑むと部屋を出て行った。
教えたゆーちゃんに教えられるなんて……それに私がするはずだった事を先にするなんて。
ひより「ふふふ……ははは」
なぜか笑った。そしてさっきよりも大粒の涙が出てきた。この涙は大事な物を得たのか失ったのか……
私は涙を拭かずそのまま床に就いた。何故か涙を拭きたくなった。
熱っぽいせいか頭が回らない。考えるのを止めた。
今はただかがみ先輩の回復を祈った。
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