らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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215:こなたの旅M 4/7[saga sage]
2013/09/01(日) 14:06:57.71 ID:YemeJceD0
特別席は最前列の数段か……私の席はA―12……あ、あった。
席を見つけて座った。辺りを見回した。特別席に座っているのは私だけだった。ちょっと来るのが早すぎたかな。それとも控え室に居るのだろうか。
もしかしたらかがみやみゆきさんも来ているかも。つかさはこのチケットを店で配っていたしね。
ここでボーっとしても暇なだけだちょっと控え室を覗いてみるかな。私は席を立ち控え室に向かった。
あれ、おかしいな〜
案内の地図にはこの辺りに控え室があるはずだけど。私は辺りをきょろきょろと見回した。でもそれらしい部屋は無かった。
もしかしたら東西を逆に見たのかもしれない。元の場所に戻ってみるかな。
「神崎さん〜」
私の後ろから男性の声がした。神崎だって、まさか。
私は声のする方に振り向いた。二十代前半くらいの男性が小走りに私の方に向かってきた。
男性「神崎さん〜」
間違いないこの男性が神崎さんと言っている。ってことは……ゆっくりまた振り返った。少し先に長髪の女性の後姿が見えた。間違いない神崎さんだ。まずい振り向かれたら
私が居るのが分かってしまう。咄嗟に建物の柱の陰に身を隠した。男性は私を通り越して長髪の女性の方に走っていく。
男性「神崎さん、こっち、聞こえています?」
長髪の女性が男性の声に気付いて振り返った。顔が見えた。間違いない神崎あやめだ。あの男性が居なかったら彼女と鉢合わせになっていた。
あやめ「坂田さん、そんなに大声を出さなくても聞こえているよ」
あの男性は坂田って言うのか。誰だろう。神崎さんとどんな関係があるのかな。それに彼女が何故この会場に来ているのか。
坂田「そっちは違いますよ、逆方向、控え室はこっちですよ」
あやめ「そっちだったの、どうりで部屋がないはずだ」
坂田「インタビューはあと一人だけですよね」
神崎さんは頷いた。
坂田「演奏までまだまだありますからそこの喫茶店で休憩しませんか?」
男性が見ている方を見ると喫茶店があった。神崎さんは暫く喫茶店を見ると、
あやめ「それじゃ少し休もうか」
神崎さんと坂田は喫茶店に入っていった。どうも気になるな。見つからない様に私も入って見よう。

 二人が喫茶店に入って数分してから私は喫茶店に入った。この喫茶店はセルフサービスの店だ。席は自由に決められる。適当な飲み物を頼むと二人の座る席の横に
気付かれないように座った。
坂田「井上さんの代理お疲れ様です」
向こうの声も聞こえる。これはもしかしたら神崎さんの秘密が分かるかもしれない。私は聞き耳を立てた。
あやめ「彼女が病気じゃどうしようもない」
坂田「病状はどうなんですか、確か神崎さんと同期でしたよね」
あやめ「今日、精密検査をするって言っていた、今の時点ではなんとも言えない」
坂田「そうですか……ところで、井上さんの文化部の仕事はどうですか、神崎さんだと物足りないんじゃないですか?」
あやめ「物足りない?」
坂田「そうですよ、アーティストや作家さんの取材、時には今日みたいにお子様の取材ですよ、政治家や企業の不正を調べている方が神崎さんらしいと思って」
井上って人の代理で来ているのか。そういえばお父さんの時もそう言っていた。するとお父さんの時も今日も神崎さんの意思で来た訳じゃなかったのか。全くの偶然だった。
あやめ「ふふ、私はそんな大それた仕事なんかしたくなかった、井上さんの様な仕事の方が好き」
さかた「へぇ〜そうは見えないな〜」
坂田は手に持っていた物をテーブルに置いた。それはカメラだった。かなり高級そうなデジタルカメラだ。もしかしたら坂田はカメラマン?
あやめ「ところで次のインタビューは誰なの?」
坂田「えっと〜」
坂田は鞄から紙を出して見た。
坂田「最後の演奏者で柊まなみちゃんですね……」
あやめ「柊……まなみ……ですって?」
柊まなみ……これからまなみちゃんの所に行こうとしていたのか。
坂田は持っていた紙を神崎さんに渡した。
坂田「小学三年生の女の子、初演だそうですよ、子供の初演にしては遅い方だとは思いますけど……なんでも今回の演奏会で最注目の子だそうです」
へぇ、やっぱりまなみちゃんは注目されているのか。ちょっと嬉しかったりするな。
神崎さんは渡された紙をじっと見ていた。
坂田「あれ、その子知っているのですか?」
あやめ「え、あ、いや、知っているだけで直接会ったわけじゃない……」
神崎さんは紙を坂田に返した。
坂田「演奏曲は……ショパンの舟歌だ、うぁ〜」
坂田は感嘆の声を上げた。
あやめ「その曲って難しいの、私は音楽に疎いから分からない」
坂田「これをデビューでやるなんて……技術はもちろん表現力も試される大作ですよ……小学生がどんな演奏するのか楽しみだな」
神崎さんはテーブルに置いていあるコーヒーを飲み干した。
あやめ「最後まで居るつもりはない」
神崎さんは立ち上がった。
坂田「え、折角来たのに聴いていかないの、それで記事なんか書けるのですか?」
あやめ「行くよ!」
神崎さんは喫茶店を出た。
坂田「あ、ああ、ちょっと待ってくださいよ〜」
坂田はテーブルに置いてあったカメラを大事そうに抱えると神崎さんの後を追った。私も少し時間を空けてから店を出た。




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